最近の研究成果

ゲノム立体構造のさまざまな特徴量を抽出する新規手法を開発 ~ゲノムにひそむ重要な機能領域の同定~

王   健康(医学系研究科 博士後期課程3年)
中戸 隆一郎(大規模生命情報解析研究分野 講師)
Briefings in Bioinformatics

発表概要

Hi-C法はゲノム立体構造情報を全ゲノム的に得ることができる強力な手法です。一方でこの方法は計算量が多大である、二次元ヒートマップの可視化による視覚的な比較に頼らざるを得ない、エピゲノムデータとの統合が難しい等の問題点がありました。

東京大学大学院医学系研究科の王健康大学院生、東京大学定量生命科学研究所の中戸隆一郎講師らは、Hi-Cデータから多種多様な一次元特徴情報を効率的に抽出可能な新規手法 “HiC1Dmetrics”を開発しました(https://h1d.readthedocs.io/en/latest/index.html)。本手法ではHi-C解析において用いられる種々の既存指標を統一的に計算できるほか、これまで同定が難しかった特殊な立体構造(クロマチンハブ等)を定量的に抽出できる新規指標を提案しました。これにより、多サンプル間の立体構造の定量的比較が容易になるだけでなく、計算に多大な時間を要する高解像度データに対しても高速・効率的に解析を行うことが可能になりました。本アプローチを用いた複数Hi-Cサンプルの網羅的比較により、ゲノム構造制御機構研究の推進が期待されます。

 

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雑誌名等

雑誌名:Briefings in Bioinformatics

論文タイトル:HiC1Dmetrics: framework to extract various one-dimensional features from chromosome structure data

著者:Jiankang Wang and Ryuichiro Nakato*

DOI番号:10.1093/bib/bbab509

URL:https://doi.org/10.1093/bib/bbab509

問い合わせ先

中戸 隆一郎(なかと りゅういちろう)

東京大学定量生命科学研究所 講師