研究内容の紹介
RNAの多様な機能と動作原理を理解する
私たちのゲノムDNAにコードされた遺伝情報は、転写によってメッセンジャーRNA (mRNA)へと写し取られたのちに、タンパク質へと翻訳されることで発現します。しかし近年、私たちの体の中にはmRNAだけではなく、膨大な数の「タンパク質に翻訳されずにはたらくRNA」が存在することが明らかになってきました。このようなRNAは非コードRNAと呼ばれています。非コードRNAの中でも特に、microRNAやsiRNA、piRNAなどの20~30塩基の小分子RNAは、自身と相補的な標的RNAの発現を負に制御し、複雑で高次な生命現象を支えていると考えられています。また、小分子RNAは基礎生物学研究のツールとしてだけではなく、最近では医薬品としても利用されはじめています。しかしこれらの非コードRNAが、どのようにして生み出され、どのような原理で機能しているのかについては、まだよくわかっていません。私たちの研究室では、生化学、生物物理学、細胞生物学、遺伝学などを組み合わせることにより、非コードRNAを中心としたRNAワールドの不思議に挑戦しています。