研究分野の概略

私たちの研究室は、生きたショウジョウバエ初期胚で遺伝子発現を可視化する独自のライブイメージング技術を駆使して、エンハンサーと呼ばれる非コードDNAを介した転写制御動態の解明を目指しています。

研究内容の紹介

個体発生における転写制御動態を一細胞レベルで可視化し理解する

転写制御において中心的な役割を担っているのはエンハンサーと呼ばれる非コードDNA領域です。エンハンサーは配列特異的な転写因子やコアクティベーターとの結合を介して、標的遺伝子の転写活性を時空間的に緻密に制御しています。現在、ヒトゲノム中には少なくとも90万以上ものエンハンサーが存在すると見積もられており、1つの遺伝子に対しておよそ~40-50のエンハンサーが働いていると考えられます。こうしたエンハンサーを介した遺伝子発現制御の多様化が、高等真核生物の複雑な形態形成を可能にしています。さらに、エンハンサー領域に生じた変異が癌をはじめとする疾患と密接に関わることが相次いで報告されるなど、その生物学的重要性がかつてないレベルで明らかとなりつつあります。しかし一方で、エンハンサーが転写を制御する根本的な仕組み、特にその時間的側面からの理解は驚くほど進んでいません。我々は生きたショウジョウバエ初期胚において転写活性をリアルタイム計測する独自のライブイメージングや定量画像解析に加え、超解像顕微鏡、single-molecule FISH、オミクス解析など様々な手法を総動員することにより、新たな切り口からセントラルドグマを理解することを目指します。

我々は生きたショウジョウバエにおいて転写活性を可視化する最先端の定量ライブイメージング技術を駆使して、研究を行っています。この手法により、エンハンサーが転写を活性化する様子を一細胞レベルでリアルタイムに理解することが初めて可能となりました。さらに、ゲノム編集や超解像顕微鏡、オミクス解析などの多様な手法を組み合わせることにより、従来の分子生物学的解析ではアプローチできなかった未知なるエンハンサー作用動態の解明に挑みます。

最近の研究成果

論文一覧

  1. Dynamic modulation of enhancer responsiveness by core promoter elements in living Drosophila embryos.
    Yokoshi M, Kawasaki K (co-first), Cambón M, Fukaya T.
    Nucleic Acids Research. 50(1):92-107.
  2. Dynamic regulation of anterior-posterior patterning genes in living Drosophila embryos.
    Fukaya T.
    Current Biology. 31(10):2227-2236.
  3. Tissue-scale mechanical coupling reduces morphogenetic noise to ensure precision during epithelial folding
    Eritano A.S, Bromley C.L, Bolea Albero A, Schütz L, Wen F.-L, Takeda M, Fukaya T, Sami M.M, Shibata T, Lemke S, and Wang Y.-C.
    Developmental Cell. 53(2):212-228.
  4. Visualizing the role of boundary elements in enhancer-promoter communication.
    Yokoshi M, Segawa K, Fukaya T.
    Molecular Cell. 78(2):224-235.
  5. Large distances separate co-regulated genes in living Drosophila embryos
    Heist T, Fukaya T, Levine M.
    Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 116(30):15062-15067.
  6. Temporal dynamics of pair-rule stripes in living Drosophila embryos
    Lim B, Fukaya T, Heist T, Levine M.
    Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 115(33):8376-8381
  7. Visualization of transvection in living Drosophila embryos
    Lim B, Heist T, Levine M, Fukaya T.
    Molecular Cell. 70 (2), 287-296.
  8. Transvection
    Fukaya T, Levine M
    Current Biology. 27 (19), R1047-R1049, 2017
  9. Rapid rates of Pol II elongation in the Drosophila embryo.
    Fukaya T, Lim B, Levine M
    Current Biology. 27 (9), 1387–1391, 2017
  10. Enhancer control of transcriptional bursting.
    Fukaya T, Lim B, Levine M
    Cell. 166 (2), 358–368, 2016
深谷 雄志 准教授
Takashi Fukaya
Ph.D.
総合文化研究科
牧野 支保 特任助教
Shiho Makino
Ph.D.