最近の研究成果

「友達」を記憶する、海馬の神経活動パターン 〜なぜ自閉症は友達を記憶しづらいのか?〜

奥山 輝大(行動神経科学研究分野・准教授)
田尾 賢太郎(行動神経科学研究分野・助教)
Molecular Psychiatry

発表概要

東京大学定量生命科学研究所の奥山輝大准教授らのグループは、「友達についての記憶」を思い出している時に、記憶を貯蔵する海馬のニューロンがどのように活動をしているのかを、マウスを用いて明らかにしました。起きている時も寝ている時も、友達を思い出す時には、いつも決まった組み合わせのニューロンの集団が、決まった順番で活動していました。さらに友達を覚えづらい自閉症スペクトラムでは、この脳活動のパターンが乱れていることを発見しました。記憶中枢である「海馬」が認知症などの記憶の病気だけでなく、自閉症スペクトラムの原因脳領域の一端である可能性を示唆するものであり、病態理解に大きく貢献できることが期待されます。

本研究成果は、2022年2月4日に英国科学誌「Molecular Psychiatry」のオンライン版に掲載されます。また、本研究はJST「さきがけ(課題番号:JPMJPR1781)」の支援により実施されました。

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雑誌名等

雑誌名:Molecular Psychiatry

論文タイトル:Disrupted social memory ensembles in the ventral hippocampus underlie social amnesia in autism-associated Shank3 mutant mice

著者:Kentaro Tao, Myung Chung, Akiyuki Watarai, Ziyan Huang, Mu-Yun Wang, Teruhiro Okuyama*

DOI番号:10.1038/s41380-021-01430-5

論文URL:https://www.nature.com/articles/s41380-021-01430-5

問い合わせ先

奥山 輝大(おくやま てるひろ)

東京大学定量生命科学研究所 准教授