雑誌名等
雑誌名:Nature Communications論文タイトル:Single-molecule analysis of processive double-stranded RNA cleavage by Drosophila Dicer-2
著者:Masahiro Naganuma, *Hisashi Tadakuma, and *Yukihide Tomari(*責任著者)
DOI番号:10.1038/s41467-021-24555-1
ウイルスの一部は、自己の増殖のために二本鎖RNAを作り出します。これに対抗して、感染した細胞側もRNA干渉という機構を用いて、ウイルス由来の二本鎖RNAを異常なものと認識し、それを壊そうとします。このRNA干渉は、原始的な免疫機構としてはたらいているだけでなく、人工的に応用することによって、ねらった特定のRNAを壊して遺伝子の発現を抑える手法として、生命科学研究やRNA創薬に広く利用されています。今回、RNA機能研究分野の永沼政広助教(研究当時)、泊幸秀教授、上海科技大学の多田隈尚史助理教授の研究チームは、1分子イメージング技術を用いて、昆虫において二本鎖RNAを切断するDicer-2がはたらく様子を直接観察することに世界で初めて成功しました。その結果、Dicer-2は、RNAの末端構造の違いやパートナータンパク質であるLoqs-PDの有無に関わらず、連続的に長い二本鎖RNAを切断することで、効率的な切断が達成されていることが明らかになりました。本成果は、細胞がRNA干渉を介してウイルスなどに対抗するしくみの理解だけでなく、生命科学研究やRNA創薬の発展を促進することが期待されます。
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