最近の研究成果

加齢に伴いゲノムはどのように変化するのか

和多田 江理子(東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻:研究当時)
堀 優太郎(東京大学定量生命科学研究所 ゲノム再生研究分野)
藤木 克則(東京大学定量生命科学研究所 ゲノム情報解析研究分野)
白髭 克彦(東京大学定量生命科学研究所 ゲノム情報解析研究分野)
小林 武彦(東京大学定量生命科学研究所 ゲノム再生研究分野)
Molecular and Cellular Biology

発表概要

なぜ年をとると病気になりやすくなったり、いわゆる衰えを感じるのだろうか?その原因を探るため生物の設計図であるゲノム、中でも特に遺伝子数が多く変化が激しいリボソームRNA遺伝子に注目して調べた。

東京大学定量生命科学研究所の小林武彦教授、白髭克彦教授らは、東北大学大学院薬学研究科の稲田利文教授らとの共同研究により、若いマウスと高齢マウスのリボソームRNA遺伝子を比べたところ、DNAメチル化の上昇、遺伝子の発現量の低下、DNA配列の変化(変異)を発見した。興味深いことに高齢マウスで見つかった変異を酵母菌に導入したところ、酵母菌の寿命が短縮した。リボソームRNA遺伝子に起こる変異がマウスでも老化の一要因になっていると考えられる。またヒトとマウスのリボソームRNA遺伝子は非常によく似ていることから、ヒトでも同様に老化の原因となっていると予想され、人の老化に伴う疾患の治療薬の開発などに繋がる可能性がある。

 

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雑誌名等

題名:Age-dependent ribosomal DNA variations in mice
雑誌名:Molecular and Cellular Biology
著者:Eriko Watada, Sihan Li, Yutaro Hori, Katsunori Fujiki, Katsuhiko Shirahige, Toshifumi Inada, and Takehiko Kobayashi

DOI番号:https://doi.org/10.1128/MCB.00368-20
アブストラクトURL:https://mcb.asm.org/content/early/2020/09/04/MCB.00368-20

問い合わせ先

東京大学定量生命科学研究所 ゲノム再生研究分野
教授 小林 武彦(こばやし たけひこ)