Dicer-2–R2D2タンパク質複合体が二本鎖siRNAの非対称性を感知するしくみ ―RNA干渉における20年来の謎を解明― (6月30日)(RNA機能研究分野)

 20塩基ほどの小さなRNA(siRNA)はArgonauteタンパク質とエフェクター複合体を形成し、相補的な塩基配列をもつ標的遺伝子の発現を制御します。この遺伝子制御機構はRNA干渉とよばれ、ショウジョウバエなどの昆虫において免疫機構としてはたらきます。さらに、RNA干渉は遺伝子発現抑制技術としても広く利用されています。RNA切断酵素であるDicer-2は二本鎖siRNAの産生とArgonauteへの受け渡しを担っています。しかし、その詳細な分子機構は明らかになっていませんでした。

 今回、東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻の山口そのみ大学院生、濡木理教授、定量生命科学研究所RNA機能研究分野の泊幸秀教授、先端科学技術研究センターの西増弘志教授らは、クライオ電子顕微鏡を用いて、Dicer-2–R2D2二本鎖siRNA複合体の立体構造を決定することに成功しました。その結果、Dicer-2–R2D2による二本鎖siRNAの産生および受け渡しの分子機構が明らかになりました。本成果は、Dicerの作動機構の理解だけではなく、効率的な二本鎖siRNAの設計や核酸医薬等への技術応用が期待されます。

 


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