小分子RNAの増幅機構を試験管内で再現!〜植物の分化やウイルス制御に必要な小さなRNAを生み出すしくみを解明~(8月2日)(RNA機能研究分野)

RNA干渉(RNAi)は20数塩基の小分子RNAが、その小分子RNAと相補的な配列を持つ標的遺伝子の発現を抑制する機構です。この機構は多くの生物で共通しており、様々な生命現象を緻密に制御しています。植物には、小分子RNAの標的RNAから二次的な小分子RNAを生み出すことができる「小分子RNA増幅機構」が存在し、植物の分化やウイルスの制御に重要な役割を果たしています。しかし、その生成機構は多くの因子が関わる複雑な反応であるため、詳細な分子機構は不明なままでした。

今回、RNA機能研究分野の櫻井友理希大学院生、Kyungmin Baeg大学院生(研究当時)、Andy Y.W. Lam大学院生、庄司 佳祐助教、泊 幸秀教授、岩川 弘宙講師の研究チームは、植物細胞抽出液を用いることで小分子RNA増幅機構を試験管内で忠実に再現することに成功しました。さらに、この試験管内実験系を用いることで、小分子RNA増幅を開始する機構と、生成効率を制御する配列やルールを明らかにしました。本研究により、植物の発生やウイルスの制御機構の理解が深まるだけでなく、将来、有用な作物を創出する際の基盤となることが期待されます。

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