定量生命科学研究所セミナー(11月6日)

日 時:2023年11月6日(月)15:00-16:00

開催場所:生命科学総合研究棟A棟410 

講 師:松井理司(Satoshi Matsui)      

Research Fellow Division of Developmental Biology Center for Stem Cell and Organoid Medicine (CuSTOM) Cincinnati Children’s Hospital Medical Center

演 題:パイオニア転写因子FOXAとPRDM1の協調による遺伝子発現抑制機構

要 旨:
多細胞生物は、同一遺伝子セットを持ちながら多様な機能をもつ細胞種から構成される。細胞の多様性は、細胞種特異的なクロマチンドメインと転写ネットワークの形成によって制御されている。これまで、細胞種特異的なクロマチンドメインに関する研究は、いかにして閉じたクロマチン構造を開き遺伝子発現を誘導するかに重点が置かれてきた。一方で、細胞種特異的な遺伝子発現抑制とそれに関わるクロマチンドメイン形成メカニズムについては、理解が進んでいない。
最近、私たちは、局所的にクロマチン構造を開きアクティブなヒストン修飾を確立するとされているパイオニア転写因子が転写抑制因子である PRDM と協調することで抑制的なエピジェネティック複合体(NuRD、ポリコーム複合体)をリクルートすることを発見した。今回は、内胚葉形成において重要なパイオニア転写因子である FOXA と PRDM1 に焦点をあて、細胞運命決定におけるパイオニア因子を介した細胞種特異的な遺伝子発現抑制機構について紹介したいと思う。(Reference: Matsui et al., BioRxiv 2022)

幹 事︓発生・再生研究分野
主 催:東京大学定量生命科学研究所