分子免疫学研究分野 丸橋 拓海助教が、令和6年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞を受賞しました。

若手科学者賞は、我が国の科学技術分野において萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満の若手研究者に対し贈られるものです。

【受賞業績】　抑制性免疫補助受容体の機能発動原理に関する研究

LAG-3を含む抑制性免疫補助受容体群はがん免疫療法の標的分子として大きな注目を集めていますが、応用研究ばかりが先行しており、各分子の機能およびその制御機構についての基本的な情報さえ不足している状況にあります。

　丸橋助教は、受容体－リガンド間相互作用を簡便且つ高感度に検出可能な実験系を確立することで、長年議論が続いていたLAG-3のリガンド特異性に関する謎を解明しました。さらに、免疫補助受容体の機能を鋭敏かつ定量的に評価可能な解析系を構築し、これまでに見出されていなかったLAG-3およびPD-1の免疫抑制機能の分子機構、制御機構を明らかとしました。

本研究成果は、複雑な免疫システムおよび免疫疾患の病態の理解を深めるとともに、効果的且つ安全性の高い新規免疫制御療法の開発に貢献すると期待されます。

主要論文：

「LAG-3 inhibits the activation of CD4+ T cells that recognize stable pMHCII through its conformation-dependent recognition of pMHCII」Nature Immunology誌、vol.19、p1415～1426、2018年発表

「Binding of LAG-3 to stable peptide-MHC class II limits T cell function and suppresses autoimmunity and anti-cancer immunity」Immunity誌、vol.55、p912～924、2022年発表

令和6年度科学技術分野の文部科学大臣表彰の詳細については、文部科学省のホームページをご参照ください。
文部科学省｜ 令和6年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者等を決定しました