クロマチン構造機能研究分野の鯨井智也助教が令和4年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞 を受賞

クロマチン構造機能研究分野 鯨井 智也助教が、令和4年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞を受賞しました。

若手科学者賞は、我が国の科学技術分野において萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満の若手研究者に対し贈られるものです。

【受賞業績】 クロマチンによる生体内反応制御に関する構造生物学研究

真核生物のクロマチンを形成したゲノムDNAでは、多様な生体内反応が進行しています。クロマチンの基本単位であるヌクレオソームはそれらの反応を制御する因子として機能しますが、その制御機構の理解は、ヌクレオソーム複合体の構造解析が困難であるために立ち遅れていました。

鯨井助教は、ヌクレオソームと生体分子の複合体や反応中間体について独自の再構成系を確立し、近年急速に発展したクライオ電子顕微鏡解析を組み合わせることで、遺伝子発現制御や免疫応答制御などにおいて重要な立体構造群を決定することに成功しました。これによって、クロマチンによる反応制御機構の理解が大きく深まりました。

本研究成果は、癌、自己免疫疾患、老化、生活習慣病や、関連する広範な疾患の原因の解明と、その治療法開発への知見を提供すると期待されます。

主要論文:
「Structural basis of the nucleosome transition during RNA polymerase II passage.」Science誌、vol.362、p595-598、2018年発表
「Structural basis for the inhibition of cGAS by nucleosomes.」Science誌、vol.370、p455-458、2020年発表

(鯨井智也助教)
(左から胡桃坂教授、鯨井助教、白髭所長、泊副所長)

令和4年度科学技術分野の文部科学大臣表彰の詳細については、文部科学省のホームページをご参照ください。
文部科学省| 令和4年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者等の決定について