新藏礼子教授が日本免疫学会女性免疫研究者賞を受賞

東京大学定量生命科学研究所免疫・感染制御研究分野 新藏 礼子(しんくら れいこ)教授が、第6回(2019年度)女性免疫研究者賞(特定非営利活動法人 日本免疫学会)を受賞されました。本賞は、免疫学の分野で顕著な業績・貢献を挙げた女性研究者に対し顕彰し、今後の活躍・促進を奨励するために授与されます。
今回の賞は「腸管IgA抗体による腸内細菌制御機構の解明」に与えられたものです。

【受賞理由】
新蔵礼子氏は、一貫して抗体遺伝子の遺伝子組換え、体細胞突然変異に関する研究に従事し、多くの優れた成果を発信してきた。突然変異マウスであるaly/alyマウスがクラススイッチおよび体細胞突然変異が障害されていることを見出し、さらに、その原因遺伝子がNIKであることを同定した。留学先でクラススイッチにおける免疫グロブリン遺伝子S領域の重要性を初めて明らかにした後、帰国後、AID分子が持つ、クラススイッチと体細胞突然変異という2つの機能を分離できるAID変異体の同定に成功し、体細胞突然変異の分子機構解明に大きく貢献した。またこの成果をもとに、腸管粘膜防御におけるIgAの体細胞突然変異の重要性を明らかにし、高親和性IgAが認識する細菌分子およびそのエピトープを同定した。 これら一連の研究結果は、抗体遺伝子多様性獲得の分子機構解明という基礎生物学的に重要な進歩であることに留まらず、新たな抗体医薬開発への貢献が期待されるスケールの大きな研究成果であり、今後もさらなる発展が期待できる。