定量研インタビュー 李 鑒汐さん
病態発生制御研究分野(代表:岡田由紀 教授)
大学院薬学系研究科所属 修士課程
入学して感じる定量研の魅力について教えてください。
定量研では多様な学生活動を送ることができると感じました。卒業後に海外でのアカデミアでのキャリアを考えている人のために、定期的に研究室主催者を含む海外留学経験者を招いて講演会を開催しています。また、産業界での活躍を希望する方は、就職活動に関する情報も簡単に手に入れることができます。さらに、定量研内のポスター発表会に参加することで最新の成果についてディスカッションする機会があり、学生間の活発な交流が行われています。まとめると、定量研は、学生に多様な機会を提供し、画一的な基準で学生を定義や評価するのではなく、人間らしさが溢れている研究所です。


学部時代の学生生活について教えてください。
私は復旦大学という中国の名門大学で学んでいました。1年生から2年生にかけては必修科目だけでなく、自ら学生活動を企画したり、ボランティア活動に参加するなど、興味を持ったことに取り組める豊かな大学生活を楽しんでいました。その結果、問題解決能力を磨くことができました。3年生からは、自身の将来について真剣に考え始め、シンガポールでのセメスター交換中に留学のアイデアを思いつき、研究室で活動を始めました。私は薬科学を専攻しており、薬学は植物学、化学、生物学、物理学など多岐に渡る分野を含んでいるため、さまざまな研究室で研究を行うことができました。この経験は現在の研究室を選択する際に役立ちました。学部生活を振り返ってみると、自分が興味を持つことに自由に取り組んだこと、授業以外の知識を学んだこと、試行錯誤を重ねこと、自分の選択に責任を持てるようになったことなど、非常に楽しい時間を過ごせました。
入学前後で定量研の印象は変化しましたか?
入学前には、定量研には留学生が多いという情報は持っていたものの、定量研については具体的な印象はありませんでした。しかし、入学後に定量研の研究の国際性を肌で感じることができました。定量研では、国内外の優れた研究者と交流する機会があり、研究精神や研究方法を学び、自分の研究を共有する機会が多くあります。2022年に開催されたAdvisory Councilでは、世界トップクラスの研究者と自身の研究テーマについて話し合い、アドバイスをいただくことができました。この経験により、どのような研究が優れているかを理解することができ、自信を持って自分の研究を進めることができるようになりました。

定量研で印象的な出来事や成長を感じたことを教えてください。
定量研では日々成長を感じることができています。定量研に入ってから、初めて直面する問題に取り組む機会が多くあります。初めての文献講読、進捗報告、ポスター発表、シンポジウムでの質問など、多くの問題を解決することで、それらは想像していたほど難しくないことが分かりました。何度も自分自身を突き破る過程で、私は成長しました。数週間前に、ポスター発表後にアドバイサリー委員会の先生から、クロマチン学会での成果発表を楽しみにしていると褒められました。その瞬間、とても嬉しく思うと同時に、自分自身がいつも両親、友人、先輩、先生から支えられていることに気付きました。だからこそ、私はここに立てるのです。ですから、私は強くなることを強制する必要はなく、自分の脆弱性を受け入れ、他の人から助けを得ることができます。また、将来、恩返しをし、自分の能力を使って他の人を助けることができることを願っています。それは私にとって精神的な成長でした。
研究テーマについて教えてください。
私は、生殖細胞のクロマチンの動態変化による遺伝情報の維持について研究を行っています。手法としては、動物実験、生化学実験、バイオインフォマティクスなどを用いて、動物の表現型の変化やクロマチン上のエピトープの研究を行っています。例えば、CRISPR/Cas9によってマウスの遺伝子をノックアウトし、マウスが示す表現型に基づいて遺伝子の役割を判断します。そして、表現型を取得した後、生化学的解析や次世代シークエンサーを用いた解析により、表現型の背後にあるメカニズムを明らかにします。加えて、生殖細胞分野、特に精子分野におけるエピジェネティックスの分野では、効率的で精度の高い研究ツールが求められています。当研究室も新たな研究手法の開発を行っております。生殖細胞分野におけるエピジェティクスは非常に興味深く、可能性に満ちたものだと思います。少しでも興味がありましたら、ご連絡ください。見学をお待ちしております。


卒業後の進路や目標について教えください。
私は現在修士1年生で、将来Ph.Dを取得する予定です。将来は製薬研究や学術研究を通じて、科学研究に継続して携わり、科学コミュニティに少しでも貢献したいと思っています。私の友人たちは、金融、法律、教育、コンピューティング、医学など、様々な分野で活躍しており、自分の分野について話すと輝いているようです。科学者も他の職業と同じように社会に貢献できると思っています。
聞き手:定量研オンキャンパスジョブHP作成チーム
写真撮影:田辺隆三、瀧澤国敏
インタビュー時期:2023年2月