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肝臓構成細胞と肝疾患各画像はクリックで拡大します。 ![]() 肝臓は、胆汁の産生や各種物質の代謝などの肝臓としての主要な機能を担っている肝実質細胞(肝細胞)の他に、肝類洞内皮細胞、クッパー細胞、肝星細胞、ピット細胞、胆管上皮細胞、中皮細胞などの肝非実質細胞と呼ばれる多種の細胞群から構成される。生体において肝臓の恒常性が維持され、その機能が十分に発現されるためには、これらの細胞間での相互作用が重要であり、そのような細胞間ネットワークの破綻が病因及び病態形成に密接に関わることも明らかとなってきている。 肝臓の一部を切除した際の肝再生時には、肝臓は肝実質細胞や各種の肝非実質細胞がそれぞれ増殖することにより本来の大きさと機能を回復する。一方、肝実質細胞の増殖が阻害される状況や重篤な肝障害時においては、門脈域周辺から未分化性を有した特殊な細胞(マウスやラットでは「オーバル細胞」と呼ばれる)が出現し、これが肝実質細胞及び胆管上皮細胞に分化・増殖することにより肝臓の再生を行うことが知られており、再生医療の材料としても注目されている。しかしながら、その由来や性状、増殖・分化機構についてはよく分かっておらず、臨床応用の観点からもその解明が期待されている(右図)。 このように、肝臓の構成細胞の性状や相互作用の様態を明らかにすることは、未分化肝細胞の増殖・分化を制御するための手がかりを与えてくれるのみならず、 成体組織幹細胞の制御や臓器再生の普遍的な原理の理解、様々な肝疾患の原因究明や治療法の確立にも役立つと考えられる。 ![]() オーバル細胞の性状と併せて、その発生や増殖・分化を制御する分子メカニズムについても徐々に明らかになりつつある。他の様々な組織幹細胞の系においてWnt/β-catenin経路が幹細胞の増殖や未分化性維持に重要な役割を果たしていることが知られている。オーバル細胞においても、このWnt/β-catenin経路の活性化が誘導されていることが我々も含めた複数のグループにより相次いで報告された(Itoh T, FEBS Lett. 2009)。我々はまた、オーバル細胞の誘導や増殖にFGFシグナルが関与する可能性を、最近見出している。FGFはオーバル細胞周囲の間葉系細胞から産生されてオーバル細胞に作用する、いわゆる「ニッチシグナル」としての役割を担うことが示唆されている。FGFシグナルの持つ生理機能や上述のWnt/β-catenin経路との相互作用などについて、成体肝臓への直接的遺伝子導入法やノックアウトマウスの系を駆使しながら精力的な解析を進めている。 ![]() 最近、肝硬変患者に対する次世代の治療法として「自己骨髄細胞投与療法(ABMi療法)」が開発され、その有効性が明らかにされてきている。我々は、ABMi療法を開発した山口大学グループとの共同研究により、マウス肝硬変モデルを用いて投与骨髄細胞が肝線維化改善に寄与するメカニズムの詳細を細胞レベルおよび分子レベルで解明することにも取り組んでいる。これにより、より効果的な治療法の開発へと貢献したいと考えている。 |
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