オススメの神経科学の教科書

果たして、どの本から手をつければよいのか?

神経科学の教科書といっても多岐に渡りますが、もし可能ならば、大学の学部生の間に1冊か2冊は体系立てて書かれた神経科学の教科書を通読しておくことを勧めます。その理由は、大学院生になったあとは自分の研究に直接的に関わる分野の知識を掘り進め、最新論文を読む必要性が上がるため、なかなか幅広い知識をつけるための時間を取ることが難しくなるからです。

1. カンデル神経科学(Principles of Neural Science)

2000年にノーベル生理学・医学賞を受賞したEric R. Kandel先生による、神経科学の教科書の王道中の王道です。世界中の神経科学を学ぶ大学生・大学院生が初めに読む教科書と言っても過言ではありません。和訳版「カンデル神経科学」は非常に読みやすくなっていますし、英語版のPrinciples of Neural Scienceにチャレンジしてみるのも良いかもしれません。内容が濃く、厚い本なので、初めから全力で読むと挫折するかもしれないので、まずは「図だけ」パラパラとめくって言って読んでみる、或いは、頭からではなく自分の興味のある章からスタートするというやり方でも良いと思います。

2. スタンフォード神経科学(Principles of neurobiology)

スタンフォード大学のLiqun Luo先生による、神経科学のエッセンスが非常によくまとめられている教科書です。「カンデル神経科学」と並んで、神経科学を勉強する上で、初めに手に取る一冊として間違いなくオススメです。

3. ベアー コノーズ パラディーソ 神経科学―脳の探求

この教科書も神経科学全体を俯瞰するためにお勧めの一冊です。上の「カンデル神経科学」や「スタンフォード神経科学」よりも、神経科学色が少なめで、ヒトの話が多く出てくるので、医学系や心理学系に興味があるひとはこちらの教科書から入った方が良いかもしれません。

4. ニューロンの生理学

ここからは各論です。昨今の神経科学は、ニューロンや神経回路がどのような挙動で振る舞うかを解き明かす「神経生理学」が様々なLayerで取り扱われいます。脳の中で実際の行動中の神経活動パターンを解析するin vivo生理学から、培養系や脳スライスを用いたin vitro生理学まで幅広く網羅し、神経生理学の古典から最先端までを学ぶ一冊に最適なのがこの一冊だと思います。

5. ニューロンの生物物理

この教科書も、「ニューロンの生理学」と並んで、神経生理学の名著です。神経は電気的信号を伝えていますから、電磁気学的な物理学側面からニューロン活動を記載しています。高校時代に「物理」を選択し、大学で神経科学を始めたい学生の方はこの教科書から入ったほうがしっくりくるかもしれません。