研究室について
研究テーマ 「RNA・RNPを基盤とする合成
生命システムの創成」
私たちは、RNAやRNA-タンパク質複合体 (RNP)を基盤とする生命システムの理解と創成に興味があります。RNAやRNPからなる生体分子やシステムは、生命システムの根幹を担います。 現存の生命システムにおいて、DNAやタンパク質の間をつなぐRNAやRNPが、いかに生命システムを制御しているのか、その機構の多くは未知です。 また生命の進化においても、化学物質と生命の間をつなぐRNAやRNPワールドが、いかに原始生命を作り出したのかは明らかになっていません。 私たちは、RNAやRNPの研究を通じて、細胞や生命の成り立ちを理解し、人類の幸せに貢献できる新しいテクノロジーの創出を目指します。研究室では現在以下のようなテーマに取り組んでいます。 個々のメンバー自身の興味に基づいた研究を実践してもらいます。
1. 合成生物学やAI技術・実験進化を活用した機能性RNA・RNP (RNA-Protein 複合体)の創成 これまで、天然由来の機能性RNA・RNPを利用した遺伝子回路の設計など開発に成功してきた私たちの研究は、新たな段階に進みつつあります。 最近の私たちの研究で、機能性RNAの配列設計を支援し、より多様な人工RNA分子の創成が可能にする深層生成モデルの開発に成功しました。 このようなAI技術や実験進化を駆使し、新たな機能を持ったRNA・RNPの創成を目指します。 RNAやRNP複合体の機能や形成を制御によって細胞を自在に操作し、生命システムを理解・制御するための新たな技術開発を目指します。
2. 次世代iPS細胞・機能性人工細胞の開発と医療応用 現代の医療技術は、再生医療や細胞治療の分野で急速に進化しています。その中でも、iPS細胞(人工多能性幹細胞)および機能性人工細胞の開発は、病気の治療や再生医療の新たな可能性を開く鍵となる技術です。 これらの医療応用に向けて当研究室ではRNAを基盤とした高効率なiPS細胞の樹立や分化技術の確立、iPS細胞の選別・純化技術の開発を目指します。 また、遺伝子回路などを搭載し、特定の機能を持つように設計された人工細胞を新しい治療のツールとして利用することを目指します。
教員メッセージ
RNP生命工学研究室は2024年4月に発足した新しい研究室です。 私は大学院生の時にRNAの試験管内進化研究に携わり、RNAのパワーを身をもって感じました。
結論に書いた、基礎研究と応用研究の両方を進めたいという思いは今も同じです。 RNAやRNA-Protein (RNP) の相互作用からなる自然界のシステムや生命現象を謙虚に学ぶことで、未来の生命科学や医学を切り拓く有用な新テクノロジーも開発できると確信しています。 様々なバックグランドを持ち、熱意をもって一緒に研究に参画してくれる学生、研究員を全国から広く募集しています。 研究の興奮、苦労、喜びを一緒に共有したいと思います。お気軽にご連絡ください。
京都大学 齊藤研究室について
当研究室は現在、東京大学定量生命科学研究所と京都大学iPS細胞研究所の2箇所に拠点を置いて運営しています。 京都大学iPS細胞研究所に関してはこちらをご覧ください。