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研究テーマ
Research Theme

1)腸管IgA抗体による腸内細菌制御機構の解明

図1

飲むだけで腸内環境を整え病気を治す、身体に優しい抗体医薬の開発

腸内細菌叢の乱れが多くの病気を引き起こしていることが注目されており、腸内細菌叢を改善することが病気の治療や予防に重要です。

腸管に分泌されるIgA抗体は腸内細菌を識別して腸内細菌叢を制御しているといわれていますが、その詳細な機構はわかっていません。

私たちは腸炎の原因菌だけを抑制する可能性のあるIgA抗体をマウスの腸から分離しました。何百種類の腸内細菌を制御するのに、このモノクローナルIgA抗体は何を認識しなぜその分子を認識すると腸内細菌叢の状態が改善するのかを明らかにします。

腸内細菌の乱れを改善する新薬としてIgA抗体を飲む抗体医薬として実現化させます。

2)体細胞突然変異機構の分子レベルでの解析

図2

AIDの2面性。新たに強力な抗体を作るが、一方で標的を誤ると細胞のがん化につながる遺伝子変異を産む。

AIDのN末変異体(G23S、23番目のグリシンがセリンに変異)はクラススイッチを誘導できるけれども、体細胞突然変異は特異的に大きく障害されることをin vitro実験だけでなくノックインマウスを作成して私たちは確認しました。

AIDのN末は体細胞突然変異を誘導するのに必要な補因子の結合部位ではないかという仮説を立て、補因子の探索を進めています。

3)IgAへ選択的にクラススイッチさせる誘導物質の探索

図3

IgAへの選択的クラススイッチ

IgA抗体は粘膜などで分泌され粘膜防御の主役です。一方、IgE抗体が粘膜で産生されると花粉症などのアレルギー反応の原因となります。

もし花粉などの抗原刺激を受けたときに粘膜のB細胞をIgEではなくIgAにクラススイッチさせることができれば、アレルギー反応を抑制するだけでなく、同じアレルゲンをIgAがブロックすることができます。IgAへ選択的にクラススイッチを誘導する物質の探索を進め、アレルギーの治療薬候補としたいと考えます。