RNA機能研究分野How the Dicer-2-R2D2 protein complex senses double-stranded siRNA15Dicer-2–R2D2 タンパク質複合体が二本鎖siRNA の非対称性を感知するしくみーRNA 干渉における20 年来の謎を解明ー泊 幸秀( 東京大学定量生命科学研究所 RNA機能研究分野・教授)雑誌名:Nature論文タイトル:Structure of the Dicer-2–R2D2 heterodimer 著者:Sonomi Yamaguchi, Masahiro Naganuma, Tomohiro 発表のポイント:◆ショウジョウバエ由来のDicer-2、パートナータンパク質構造を世界で初めて明らかにしました。◆Dicer-2–R2D2が二本鎖siRNAを決まった向きで◆本成果は、Dicerの作動機構の理解だけではなく、効率的な二本鎖siRNAの設計や核酸医薬等への技術応用が期待されます。発表の概要:質とエフェクター複合体を形成し、相補的な塩基配列をもつ標的遺伝子の発現を制御します。この遺伝子制御機構は免疫機構としてはたらきます。さらに、RNA干渉は遺伝子発現抑制技術としても広く利用されています。RNA切断酵素であるDicer-2は二本鎖siRNAの産生とArgonauteへの受け渡しを担っています。しかし、その詳細な分子機構は明らかになっていませんでした。今回、東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻の山口そのみ大学院生、濡木理教授、定量生命科学研究所RNA機能研究分野の泊幸秀教授、先端科学技術研究センターの西増弘bound to a small RNA duplexNishizawa, Tsukasa Kusakizako, Yukihide Tomari, Hiroshi Nishimasu, Osamu NurekiDOI 番号:10.1038/s41586-022-04790-2R2D2、および、二本鎖siRNAから形成される複合体の立体Argonauteに受け渡す分子機構を明らかにしました。20塩基ほどの小さなRNA(siRNA)はArgonauteタンパクRNA干渉とよばれ、ショウジョウバエなどの昆虫において志教授らは、クライオ電子顕微鏡を用いて、Dicer-2–R2D2二本鎖siRNA複合体の立体構造を決定することに成功しました。その結果、Dicer-2–R2D2による二本鎖siRNAの産生および受け渡しの分子機構が明らかになりました。本成果は、Dicerの作動機構の理解だけではなく、効率的な二本鎖siRNAの設計や核酸医薬等への技術応用が期待されます。IQB Institute for Quantitative Biosciences |Jpasymmetry
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