●●Laboratory of Genome RegenerationMEMBER教授 小林 武彦 / 博士(理学)KOBAYASHI Takehiko (Ph. D.), ProfessorACHIEVEMENT●助教 大屋 恵梨子 / 博士(理学)OYA Eriko (Ph. D.), Research Associate 助教 堀 優太郎 / 博士(理学)HORI Yutaro (Ph. D.), Research Associate 専門: 分子遺伝学Research : Molecular GeneticsIida T, Kobayashi T. RNA Polymerase I Activators Count and Adjust Ribosomal RNA Gene Copy Number. Mol Cell. 2019 Feb 21;73(4):645-654.e13. DOI:10.1016/j.molcel.2018.11.029 Sasaki M, Kobayashi T. Ctf4 Prevents Genome Rearrangements by Suppressing DNA Double-Strand Break Formation and Its End Resection at Arrested Replica-tion Forks. Mol Cell. 2017 May 18;66(4):533-545.e5. DOI:10.1016/j.molcel.2017.04.020 Hori Y, Engel C, Kobayashi T. Regulation of ribosomal RNA gene copy number, transcription and nucleolus organization in eukaryotes. Nat Rev Mol Cell Biol. 2023 Feb 2. DOI: 10.1038/s41580-022-00573-9KOBAYASHI Takehiko (Ph. D.), Professor担当大学院 / 担当者:Faculty / Supervisor : 特任研究員 鈴木 雄SUZUKI Yu, Project Researcher特任研究員 柳 秀一 / 博士(理学) YANAGI Shuichi (Ph. D.), Project Researcher特任研究員 西澤 正文 / 農学博士NISHIZAWA Masafumi (Ph. D.), Project Researcher理学系研究科 / 小林教授Graduate School of Science / Dr. KOBAYASHIRESEARCH CENTER FOR BIOLOGICAL VISUALIZATION技術職員 朝倉 智子 ASAKURA Tomoko, Technical Sta■学術専門職員 太田 沙弥香 OHTA Sayaka, Project Academic SpecialistJpEn82 | 83 生物は30億年以上前にDNAを遺伝物質として使いはじめました。DNAは紫外線や化学物質により、変性しやすく脆弱ですが、RNAに比べ安定な2本鎖構造を維持することができ、複製や修復に都合がいい物質だったと想像されます。進化が進むにつれ細胞が大きくなり、多機能化そして多細胞化して行く過程で、遺伝子数も増え、DNAは徐々に長大化していきました。そうなると傷ついたDNAを直すのも大きな作業となってきます。また直し損ないがあると変異を生じ、がん化の原因にもなります。そこで登場したのが、細胞を老化させる機構です。DNAの傷が蓄積すると老化スイッチがオンになり、細胞は不可逆的に死ぬ方向に誘導されます。つまり細胞老化とは、免疫機構と同様に体にとっての有害となりうる細胞を排除する仕組みなのです。 それではDNAにできた傷は、いったいどのように細胞老化を誘導するのでしょうか。実はこの仕組みは、免疫機構のようには詳しくわかっていません。私たちは、このDNAの傷から細胞老化が誘導され、排除される仕組みを研究しています。 リボソームRNA遺伝子(rDNA)は細胞の中でもっとも多量に存在する遺伝子です。真核細胞では100コピー以上が直列に連なった反復遺伝子群を形成しています。多コピーを維持するために遺伝子増幅機構を有しており、常に自らDNAに傷(2本鎖切断)を起こし増幅に必要な組換えを誘導しています。興味深いことに、この2本鎖切断活性を上昇させ組換え反応を促進させると、細胞の寿命が短縮し、逆に2本鎖切断を阻害すると、細胞の寿命は大幅に延長します。このことはrDNAが老化を誘導するゲノム領域であることを示しています。私たちは、DNAが傷つくとどのようなシグナルが発生し、細胞老化が誘導されるのか、主に酵母菌という微生物を用いて研究しています。研究成果は、細胞老化のメカニズムの解明のみならず、その人為的な誘導により、がんなどの疾患を防ぐ創薬や治療法の開発にも繋がると期待されます。教授 小林 武彦 / 博士(理学)ゲノム再生研究分野
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