実験医学21:874-879(2003)

大腸菌リポタンパク質の選択的膜局在化機構

松山伸一、徳田元

大腸菌のリポタンパク質は内膜で脂質による修飾を受けた後、N末端の次のアミノ酸がアスパラギン酸のものは内膜にとどまり、ほかのアミノ酸のものは外膜に局在化する。われわれはリポタンパク質の選別と外膜への局在化に関与する因子として、内膜のABCトランスポーターLolCDE複合体、ペリプラズムキャリアータンパク質LolA、および外膜受容体LolBを見出した。これにより、わずか1アミノ酸残基の違いによってリポタンパク質の局在場所が決定される機構と、水に溶けないリポタンパク質が親水的環境のペリプラズムを横断して外膜に局在化する機構が明らかになってきた。