蛋白質・核酸・酵素46:1221-1227(2001)

脂質で修飾された蛋白質を膜から遊離させるABCトランスポーター

徳田元、松山伸一

ABCトランスポーターは、全生物に普遍的に存在する最も大きな蛋白質スーパーファミリーである。ATPのエネルギーを使って、さまざまな物質の脂質二重層をこえる輸送を触媒する。このファミリーに属しながら、脂質二重層の片側にのみ存在する物質を膜から遊離させるABCトランスポーターが見いだされた。このABCトランスポーターには、細菌に広く存在する、脂質で修飾されたリポ蛋白質を細胞膜から遊離させ、ペリプラズムで分子シャペロンと可溶性の複合体を形成させる働きが見いだされた。これはリポ蛋白質を別の膜(外膜)に運ぶ機構として働いている。