IQB Annual Report 2021
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22雑誌名:Briefings in Bioinformatics論文タイトル:HiC1Dmetrics: framework to extract various one-dimensional features from chromosome structure data著者:Jiankang Wang and Ryuichiro Nakato*DOI 番号:10.1093/bib/bbab509発表のポイント:◆ ゲノム立体構造を網羅的に観測する Hi-C 法によって得られたデータから様々な一次元特徴量を抽出可能な新規手法“HiC1Dmetrics”を開発しました。◆ HiC1Dmetrics では Hi-C 解析において用いられる既存指標の計算だけでなく、これまで定量的な計測が難しかった特殊な立体構造を抽出できる新規指標を提案しました。◆ 本アプローチは、複数の Hi-C サンプルの比較、可視化、エピゲノムデータとの統合において優れたパフォーマンスを示しました。発表の概要: Hi-C 法はゲノム立体構造情報を全ゲノム的に得ることができる強力な手法です。一方でこの方法は計算量が多大である、二次元ヒートマップの可視化による視覚的な比較に頼らざるを得ない、エピゲノムデータとの統合が難しい等の問題点がありました。 東京大学大学院医学系研究科の王健康大学院生、東京大学定量生命科学研究所の中戸隆一郎講師らは、Hi-C データから多種多様な一次元特徴情報を効率的に抽出可能な新規手法“HiC1Dmetrics”を開発しました(https://h1d.readthedocs.io/en/latest/index.html)。本手法ではHi-C 解析において用いられる種々の既存指標を統一的に計算できるほか、これまで同定が難しかった特殊な立体構造(クロマチンハブ等)を大規模生命情報解析研究分野ゲノム立体構造のさまざまな特徴量を抽出する新規手法を開発ゲノムにひそむ重要な機能領域の同定HiC1Dmetrics: framework to extract various one-dimensional features from chromosome structure data王 健康(東京大学大学院医学系研究科 分子細胞生物学専攻・博士後期課程)中戸 隆一郎(東京大学定量生命科学研究所 大規模生命情報解析研究分野・講師)定量的に抽出できる新規指標を提案しました。これにより、多サンプル間の立体構造の定量的比較が容易になるだけでなく、計算に多大な時間を要する高解像度データに対しても高速・効率的に解析を行うことが可能になりました。本アプローチを用いた複数 Hi-C サンプルの網羅的比較により、ゲノム構造制御機構研究の推進が期待されます。

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